【大学病院】初めてのコーヌス・クローネ
研修医1年目、4か月ずつ口腔外科、第3保存(根管治療)と研修し、本来所属の顎口腔機能治療部の4か月が始まった。
研修開始早々、大山教授に
「このコーヌスのケースは君に任せる。わからないことがあったら聞きに来なさい。」といわれた。
コーヌス・クローネといえば部分床義歯治療の最高峰。
多数歯のインプラント同様、「口の中に高級車が入っている」と言われる程高額な治療方法だ。
新卒社員にビッグ・プロジェクトを任せるようなものだ。
これはマズイ。
うかつに聞きに行ったら大変なことになる。いくらニブイ私でも緊張が走った。
当時コーヌスについての専門書は日本語では3冊しかなかった。
まず、何をおいてもその3冊を読み大きく分けて2つの手順があることを理解した。そこで教授室に行き、質問した。
「先生、内冠をpick upするんですか?それともsetしてからimpするんですか?」この質問は正解だった。
「pick upでやりなさい。」
その後もこのスタイルで大山教授につかえ、数々の無茶をやりながらも一度も雷を落とされずにすんだのである。