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2011年12月13日

大山教室での4年間を終え、開業するに当たって自分の実績を示すデータが欲しいと思っていた。
そこで教授に自分の治療させていただいた患者さんの口腔内スライドをコピーさせていただけないかと相談した。
彼の返事は
「君が実際に担当したんだから、全てよろしい。」
というものだった。意気揚々とスライドをセレクトし、開業予定の自院に持ち込んだ。

そんなある日、残っていた難しい治療の患者さん(私が手を下した大掛かりの治療の患者さんは、開業後も長い間木曜日に大学で診療していた。)から、昔の話を聞いた。
彼女は顎顔面部の大きな外傷を受けており、当時の記憶は定かではないようだった。受傷後、外科的な大手術を受け、その後歯科にも来院していた。

「私、ショックでした。本の検索をしていたら偶然形成外科の学会誌を見つけてしまい、そこで私の病名を知って・・・。形成外科の先生を本当に信頼しておりましたのに、複雑な思いです。」

私は自分のいたらなさを痛感した。
私が自慢したかった大掛かりな治療とは、患者さんにとっては、消し去りたい過去でしかなかった。以来、私のスライドは埃をかぶったままである。

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さとう歯科医院 院長 佐藤達也

さとう歯科医院
http://www.satou-client.jp/
院長 佐藤達也

【ブログの主旨】

「診療雑感」は、私が過去にどのようなことを感じ、どんな診療を行っていたかをまとめたものです。症例写真だけでは技術をお見せすることはできませんが、文章なら私の人間性を語ることができます。 なじみの患者さんが言っていた、「何かあったら、(佐藤)院長が出てきてくれるんだから、俺は今の先生を信頼してお任せしていますよ。」とは、ありがたいひと言である。


【経歴】

1988年 東京医科歯科大学卒業

1988年~1990年 東京医科歯科大学研修医修了(2期生)

1990年~1998年頃 東京医科歯科大学・障害者歯科学講座・顎口腔機能治療部において、大山喬史教授(当時の病院長、現在学長)の指導のもと、教授診療助手のチームリーダーとして、難易度の高い義歯や著名人・芸能人の審美歯科治療を担当。

1991年~1998年頃 障害者歯科学講座・障害者歯科治療部において、有病者の歯科治療。

1992年6月 大田区東雪谷にて開業。

2004年9月 現在住所(隣)に移転。