【大学病院】最高の治療
教授チームのトップにいたころ、モデルやタレントの女の子の患者さんも少なくなかった。
ある時、1人の女の子がかなり遅れてやってきた。大きな目を真っ赤にしてふさぎこんでいる。
佐藤「何かあったの?」
モデル「・・・」
佐藤「泣いたんだ・・・」
モデル「・・・」
佐藤「寝てないんじゃない?」
モデル「別に先生には関係ないことですから」
佐藤「寝てないんじゃ麻酔の注射は良くないね」
モデル「・・・」
佐藤「彼のこと・・・?」
みるみる真っ赤な目が水浸しになった。
モデル「こんなこと、言うつもりじゃなかったのに・・・」
ここからは大泣きになってしまった。
モデル「私たち、もうダメなんです。」
モデル「こんなのヤダ~。」
佐藤「うん、うん、それで?」
一通り話を聞いて、
「大丈夫。彼ももう落ち着いているよ。部屋に帰っていると思うから、電話を入れてごらん。待っているから。」
10分程して笑顔の彼女が戻ってきた。
「先生の言った通りでした。これが最高の治療ですね!」
やれやれ、ほっとしたと思いつつも、時間外の洗い物をする衛生士さんの金属の擦れる音が一段高いことが恐ろしい。
「またやっちゃったなー。」